3話②
110号室。
そこは誰もいない筈の部屋である。
しかし、そこには白髪(はくはつ)の青年がいた。
私も驚きを隠せないが、彼はもっと驚いているようだった。
「…誰だ、キミは」
「……あーあ、ここに来てイキナリ見つかるなんて。やれやれだなぁって感じ」
彼はため息をつき、よこ横にふった。
なんなんだこいつは。ここの人間ではないのだが……
「あ、名乗ってなかったね。ボクは…ユメミ!!ユメミでいいよ。ちょっとワケアリで急だけどここに住むんだ!一応~君らと同じ、”エスピリト”、だよ」
「!!」
エスピリト。それはワタシ達がここにいる理由である。20歳になると…死ぬ、そういう病気なのだ。だから、来年になればワタシは……。
「そうだ、ボクがここにいることは誰にも言わないでね?ボクの力をもってすれば君なんて永遠の眠りにつかせることだってできる」
「わ、わかった。見なかったことにする」
…と、言うしかなかったw
「まあ…時期が来たら、また会おうね。それじゃ、よろしく~」
ワタシはユメミに見送られ、ドアを閉めた。
夜になり、ワタシは一人考え事をしていた。もちろん、さっきの白髪青年のことだ。
彼はいったい何者だろう。内部事情を知っているのだろうか?……わからない
「なあなあ、どうしてそんなに難しい顔してんだ?…う○こか?」
「違うわ!!!!…ちょっと考え事だ」
突然声をかけてきたのは、ヒノ君だった。
これはキレても仕方ないと思う。
「てか、なんでお前と寝ないといけないんだよ!ほもか?!」
なぜその単語を知っている。
「仕方のないことなんだ。でもワタシはホモじゃないぞ」
ヒノ君は音楽プレイヤーを取り出した。
「おれ、音楽プレイヤー(これ)で寝るから、自分ので寝ていいよ……」
最近彼は電子機器に入れるようになったのだ。使いこなすのがはやい。まばゆい光に包まれ吸い込まれていった。
トップ画面はアイコンが散在していて、中央にすでに夢の中のヒノ君がいた。
「アニメのキャラに3秒位で寝るやついたな」
ワタシも、寝るとしよう。一日でも多く、そしてあの人の為にも長く、生きなければ。