1話③
エレベーターで13階のホールに着くと、10数人の変わった髪色の人達がおれを見ていた。茶色や黒の髪色はなんともなかったが、変わった色…紫や水色はなんだか違和感を感じたのだ。
「はいはい、この子が新たな患者のヒノ君だ。仲良くしてやってね!」
突然黒髪の女性がおれの紹介を始めた。
「どうも…」
突然過ぎたので素っ気ない感じになってしまった。
「じゃ、あとよろしく~」
女性はそう言い残してエレベーターを降りて行ってしまった。
「全くあの人は……みんな、あとはワタシが案内とかするから、解散。」
この中で一番背が高く、眼鏡をした紫の髪色の男性がその場をしきっていた。リーダー的存在らしい。
「では、キミの部屋に案内するよ。」
「お願いします。」
「そんな堅くならなくていいよ。では、行くぜ!」
男性はキザったらしくエレベーターのボタンを押していた。なんだか腹のたつ言動だ。
15階のところでエレベーターを降り、右に曲がって少し進んだところでキザ男(勝手に命名)は足を止めた。
「ここがキミの部屋だ。外の森っていう緑色の部分よく見えるよ。うらやましい。」
なぜか羨望の眼差しをむけられたが、気にしないで部屋に入ろうとした。
「え、おい。ワタシも部屋に入れさせろ!…着替えてるとこみたりしないからさ!」
彼の言動に問題ありそうだが、着替え…服…そういえばおれ以外今着ている服を着ていない。
「部屋に、服あるの?」
「…ああうん。モチロンモチロン」
つっこむとこそこじゃないとかぶつぶつ言っていたが、おれはおそるおそる扉のノブをひねった。
続く